コロナ禍で執筆された、韓国パンデミックSF小説集。

日本と同じくマスク生活や隔離生活が行われていた現状をもとに大きく3つの観点で物語が展開されている。

・黙示録
・感染症
・ニューノーマル

の3つの観点に分かれている。

特に”ニューノーマル”の
「チャカタパの熱望で」は新しい観点でコロナ禍後の世界を描いており読んでいて新鮮だった。

「チャカタパ」というのは韓国語で激音を表し、破裂音などを意味している。
日本語で言う濁音や半濁音のイメージである。

ウイルスの飛沫感染を防止する目的で、
一部の言葉が置き換わっており、翻訳の配慮でさらにそれがわかりやすく描かれている。

現代ではマスク着用がほぼ必須となっているが、
マスクをしないもののウイルスの感染を防ぐ手段で言葉を工夫するというのは確かに理にかなっていると感じた。

日本で描かれたSFの短編集に比べ
現代の延長戦として人の想いや関係性に重点を置かれた物語もいくつかあり、情緒が揺さぶられるものもあった。

パンデミックが少し落ち着き始めたからこそ3つの観点を比較しつつ楽しめる一冊。

『ポストコロナのSF』-SFで考えるコロナ禍後の社会
『ポストコロナのSF』
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