コロナウイルス(COVID-19)が日本でも確認され、世界的に感染が広まっている中、
この社会がどういう構造になっていくのか、など未来の話を各SF小説家がSF短編として表現してくれている。

ウイルスに感染することを恐れ、マスク、消毒などが現状では徹底され、
授業やミーティング、仕事が在宅のオンライン環境で行われている現在を発展させ少し未来の世界を見せてくれる物語もあれば、
さらに未来、100年規模の時間経過や宇宙規模に例えて今の状況を置き換えて考えさせてくれる物語もある。

『ポストコロナのSF』中短編の作者。
SF小説家の方々それぞれにコロナとの向き合い方やコロナ禍後の世のあり方の考え方に触れられる

コロナウイルス流行前を知っている人類ほど
人間は接触を抑制されすぎても、オンラインやマスクで希薄となった感情・思考の露出を強要されすぎても
身体も精神も健康ではいられない。

どの物語にも共通して言えるのは、
コロナウイルスの流行前の社会に戻る、元通りの日常となることはないということだと思う。
どの物語も「共存」「適応」といった、コロナウイルスが近くにありながらもそれと共に生きていく世界を見せてくれる。

物語ごとの共存の仕方、適応の仕方を考えることで、それが自分の豊かな生活の支えとなってくれるだろう。

ポストコロナを描いた本作だからこそ、コロナウイルスと共にどう生きていくのかを考えるきっかけになる一冊。