読む前から喜劇的な物語ということを本の帯の紹介で知ってたけど、
ユーモア的な部分というよりも旅とかそういうところに色々感じるところがあった。
主人公「レス」は元恋人の結婚の報せを聞き、いわゆる傷心旅行で世界を点々と回ることになる。
その各地で、その元恋人のことや自分が過去にその土地で味わった経験を回顧しながら傷を癒していく課程、
また、そこで直面する新たな経験が描かれていく。
だが、この物語を読んでいると、
忘れるというよりは、思い出してしまっている割合の方が多くなっているような気さえしてしまう。
しかし、恋人との別れなどはその想い出を美しくしていくことが1番の癒しなのではないかとも思わせてくれる。
主人公であるレスが、社会的に生きにくい立場にある性質を持っていることもこの物語において、
僕の理解が及びづらい点であるとともに、いろいろな背景が見え隠れし興味深い点でもある。
(その難しさはぜひ読んでみて体感してみてほしい)
結末もユーモアがあるので、
心に少し余裕のある方におすすめの一冊。
心に余裕のない方は旅行にいきましょう。
僕は傷心旅行というものは一度だけ考えたことがある。
ちょっと仕事とかでうーん、うまくいかないな、辛くなってきたなぁ、と思ったときに一度ひとりで奈良へ。
奈良のいいところは「空が広い」ところだと思っている。
疲れている時ほど空を見る機会は減っていくものだと改めて感じ、さらに空の澄んだ綺麗さに救われると思う。
特におすすめなのは平城宮跡。
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1000年前以上から人がここをつくり、ここを大切な場所として使い続けていたという
歴史を感じる場所である。
そしてそれゆえ今自分が生きている1分1秒がどういうものなのかを考えられる機会になる。
(というかそうやってみると自分の悩みなんてちっぽけじゃん、と思える。)
いま社会ではコロナの影響で自宅に篭もりがちな人も多くなっている。
状況次第ではあるけれど自分なりの傷を癒す場所が人には必要だと思う。