『今日もていねいに。』

『今日もていねいに。』

「成長しなくてもいいけれど、いつも新しくありたい」
という言葉が初めに刺さる。

僕は仕事をする社会人で、もちろん余裕がない時もあれば余裕のある時もあって、
仕事外の時間はできるだけ波風を立てない安定を求めていた。

それは毎日が同じことの繰り返し=ルーティーン化を求めることであり、
ある意味日々の「新しさ」はどんどん消えていくことにつながっていた。

それが息苦しいと思ったことはなかったけれど、この本を読むともったいない気持ちで一杯になった。

今の自分が読んで面白いと感じたのは終わりの方に書いてある「宝くじ」の話だ。
捨ててしまう人が大半である、外れた宝くじ券を大切に保管していることが紹介されている。
外れた宝くじは経験の跡に例えられ、それを捨ててしまうことはこれまで感じたことや想い出を捨ててしまうことと同じになるだろう。
外れてしまった大半の宝くじ券をその後すぐに捨ててしまうのか、それともその経験を大切なものとして自分の中に残すことにするのか、それは自分にとっての大きな分かれ道になるだろう。

この本は著者である松浦弥太郎さんの生き方、物事への向き合い方が描かれており、一度読む、というよりは何度も見返す本となるだろう。
(「暮らしのなかの工夫と発見ノート」というコピーは個人的にぴったりだと思う)

「いつも新しくある」ということは、自分と向き合い自分を常に再発見していくこと。

自分が何に感動を覚えるのかを考え、その感動を大切する繰り返しを自分も実践したい。

僕は最近になってコーヒーを少し習慣的に飲むようになった。
(と言っても週に4〜5杯飲む程度なので、「好き」まではいかないかもしれないが)

正直味の良し悪しはまだわからないけれど、頭が落ち着くような気がするし、
余裕がなくなった時の深呼吸の時間作りにつかっている。

使っているカップは
yumiko iihoshi porcelain 「unjour」 シリーズのカップ。

取手の形がお気に入り。

色はruri、サイズはnuit

「手作りとプロダクトの境界にあるもの」をコンセプトに製作されたカップは
程よいハンドルと容量で自分の落ち着くひとときを演出してくれる。

あまり容量を飲まないかつ夕方以降に飲むことが多いので
サイズはフランス語で夜を意味する「nuit」。

数あるカップの中でもこの陶器の品は表情があると思う。
その表情を見つけられるこの品はいつも発見をくれるのではないかと思い、ご紹介。

本で描かれた松浦さんの生き方の全てを自分で実践するつもりはないし、できるとも思っていない。

現に淹れるコーヒーはインスタントで味の良し悪しもまだまだわからない。

でもカップ1つで自分だけの特別な時間をつくってくれる。

小さい部分から自分なりにこだわり、「新しい自分」を再発見していく機会をくれた一冊と一品だ。

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