
ヘイル・メアリーとは、もともとカトリックにおける聖母マリアへの祈り、を意味しており、
アメリカンフットボールの試合でも、ヘイルメアリーパス、という一か八かのパスという意味でも使われる言葉である。
つまりプロジェクトヘイルメアリーというものは一か八かの神頼みの計画だということを意味している。
一か八かの物語は過去と現在を行き来し、
出会いなどを通して主人公の気持ちに変化を及ぼしていくこととなる。
閉鎖空間の中で複数人で暮らす際、
集団か孤独か、どちらが良いか?何十年と耐えられるのか?
人の勇気はいつ生まれ、いつまで保っていられるのか?
そんなことを考えながら夢中で読める一冊。

上巻は自分の記憶がない中で何者か、どこにいるのかを推理していき、驚きの出会いを果たすことになる。下巻では、死にたくなかった心に変化が生まれていく。

上巻で自分の文化から自分のことを知る過程が、
下巻ではある文化に対する理解の過程が描かれており、それも面白い。
ぜひ読み進めてみてほしい。